半期に一度の評価面談。「今期もよくやってくれたね」「もう少し主体性を出していこう」。5分で終わり、次の予定へ。
上司は「ちゃんと見ているし、伝えた」と思っている。部下は「結局、何を見て評価されたのか分からなかった」と思っている。このすれ違いは、評価制度の精度の問題ではありません。評価が本人に届くまでのプロセス、つまりフィードバックの問題です。
そして厄介なことに、このズレは静かに、しかし確実に離職につながっていきます。
カオナビHRテクノロジー総研が2025年3月に実施した調査(被評価者の立場にある有業者575名)に、示唆的なデータがあります。
まず前提として、評価結果に「納得感がある」と答えたのは56.0%。一方で33.7%は「納得感がない」と回答しました。そして、この差は転職意向にはっきり表れています。納得感がある層で転職・退職を検討しているのは29.5%であるのに対し、納得感がない層では47.9%。およそ半数が、会社を出ることを考えているという結果でした。
では、納得感は何で決まるのか。素朴に考えれば「良い評価をもらえば納得し、悪ければ納得しない」となりそうですが、調査結果はそれだけではないことを示しています。
評価結果を社内で下位だと受け止めている人でも、3割は納得感を持っていました。逆に、上位だと受け止めている人でも27.6%は納得していません。
決定的な差が出たのは、次の項目です。
同調査では、納得感がある群とない群で、各項目に「当てはまる」と答えた割合の差を比較しています。
| 項目 | 納得感あり群との差 |
|---|---|
| 上司からの丁寧なフィードバック | 63.4ポイント |
| 評価項目の適切感 | 59.6ポイント |
| 報酬の連動感 | 56.6ポイント |
| 業務支援の充実 | 53.9ポイント |
| 期中の進捗確認の機会がある | 35.2ポイント |
最も大きな差がついたのは「最終的な評価結果について、上司から丁寧にフィードバックを受けられていると感じる」でした。評価結果が中位・下位でも納得している人は、この項目に当てはまると答えた割合が明確に高い。
評価は、伝え方で決まる。 データはそう語っています。
同じ調査でもう一つ、中小企業にとって見過ごせない結果が出ています。
従業員規模別の「納得感あり」の割合は、以下のとおりでした。
規模が小さい組織ほど、評価への納得感が低い。
直感には反します。少人数なら上司と部下の距離は近く、日々の様子も見えているはずです。それでも納得感が低いのはなぜか。調査では、目標設定プロセス・支援の充実・制度への信頼といった指標の平均得点が、規模が小さくなるほど低いことが示されており、その要因として制度の整備と運用の着実さの差が挙げられています。
つまり、「顔が見えているから、わざわざ言わなくても伝わっている」という前提そのものが成立していないということです。距離の近さは、フィードバックの代わりにはなりません。
この問題は、そのまま採用市場に跳ね返ります。パーソルキャリアのJob総研が2025年9月に発表した「2025年 人事評価の実態調査」(社会人男女391名)では、全体の69.6%が人事評価に不満を持った経験があり、65.5%が人事評価をきっかけに転職を検討した経験があると回答。そのうち51.6%は実際に転職しています。
とはいえ、現場のマネージャーを責めるのは筋違いです。
産業能率大学総合研究所が2023年に実施した「上場企業の課長に関する実態調査」(従業員300人以上の上場企業に勤める課長級809名)では、94.9%の課長が自身をプレイングマネジャーだと認識していました。自分の担当業務を抱えたまま、部下のマネジメントも担っている。これが標準的な姿です。
その状態で半年ぶりの評価面談に臨むと、何が起きるか。
思い出せるのは、直近1〜2か月の印象と、記憶に残った失敗くらいです。4か月前に他部署のトラブルを黙々と処理してくれたこと、新人の質問に毎回丁寧に答えていたこと、見積の精度が半年で目に見えて上がったこと。そうした事実は、記録されていなければ消えます。
結果として、フィードバックは「もう少し積極性を」「全体的によくやっている」といった抽象的な言葉になる。部下からすれば、何を見て言われているのか分からない。ここで納得感が失われます。
問題は、マネージャーの観察力ではなく、観察した事実が残らないことにあります。
フィードバックは上から下だけのものではありません。現場から上への回路も同じくらい重要で、そして同じくらい詰まっています。
yellbaが2025年12月に実施した「組織サーベイ実態・意識調査」(全国の正社員463名)によると、職場で本音を控える最大の理由は「言っても何も変わらない」で35.0%。改善状況が共有されていると感じている社員は25.9%にとどまりました。
さらに、「会社が社員の声に誠実に対応していない」と感じている層では、職場推奨意向(eNPS)の批判者(10点満点中0〜6点)の割合が95.2%に達しています。
声を集める仕組みを入れることと、集めた声に応答することは別物です。応答がないまま集め続けると、かえって「また聞かれただけで終わった」という不信を積み上げます。

CooBaseの「スタッフ分析」と「フィードバック送信」は、上下それぞれの方向のフィードバックをそれぞれ機能させるための機能群です。

スタッフ分析の一覧画面では、担当スタッフがカード形式で並びます。名前・役職・グレード・総合スコアに加えて、5次元のミニレーダーチャートが表示され、誰がどんなバランスで働いているかが一覧で分かります。グループでの絞り込み、リスクレベルでのフィルタ、名前・グレード・スコア・リスク順の並び替えにも対応しています。
個人の詳細画面は7つのタブ(概要・スキル・日報・工数・学習・目標・勤務)で構成され、分析期間は30日・90日・180日・1年から選べます。同じ人でも、30日で見るのと1年で見るのとでは、まったく違う姿が見えてきます。

CooBaseの評価軸は5つの次元です。
レーダーチャートで表示されるため、「数字は出ていないがチーム貢献が突出している」「生産性は高いがウェルビーイングが落ちている」といったバランスの偏りが見えます。一次元のスコアでは評価しようのなかった働き方に、言葉を与えるための仕組みです。
概要タブには「見えない努力」と「ポジティブ・インフルエンス」というセクションがあります。
前者では、日報の継続日数、工数見積の精度、学習の継続状況、獲得バッジなどを表示。後者では、Kudos(称賛)の送受信数、ナレッジの閲覧数、他メンバーとのコラボレーション件数を表示します。
いずれも売上や納期には直結しないものの、組織を静かに支えている行動です。そしてこれこそが、フィードバック面談で最も具体的に伝えるべき材料になります。
マネージャーは、気づいたときにその場でスタッフの行動を記録できます。

観察日を持たせているのが要点です。半年後に開くと、記録が時系列に並び、月別のプラス・マイナス推移と累計スコアがグラフになります。「直近の印象だけで評価してしまう」という近接効果を、仕組みで防ぐ設計です。
CooBaseは毎日朝6時に、スタッフごとのAI分析サマリーを自動生成します。内容は次の5点です。
必要に応じて手動で再生成もできます。面談の直前にこの画面を開けば、何を根拠に、何を話すべきかが揃っている状態から始められます。
概要タブの先頭には「マネジメントアラート」が表示されます。感情スコアの低下、過重労働の兆候、連続したマイナス評価など、注意が必要な変化を検知して知らせるものです。
また、ウェルビーイングスコア・感情スコア・総合評価をもとに離職リスクが自動判定され、高・中の場合はプロフィールにバッジが表示されます。
ここで重要なのは、リスク判定は結論ではなく、声をかけるタイミングの通知だということです。ラベルを貼るための機能ではありません。実際CooBaseでは、判定の次に「対応記録」がセットで用意されています。
対応タイプ・メモ・実施日を残せるため、「気づいた → 対応した → その後どうなったか」というループが閉じます。担当マネージャーが変わったときの引き継ぎにも効いてきます。
もう一方の矢印を担うのが「フィードバック送信」機能です。
サイドバー下部の「フィードバックを送る」から、権限に関係なく全ユーザーが利用できます。
送信先は、社内の誰かではなくCooBaseの開発チームです。「この画面のこのボタンが押しにくい」「毎月この集計を手作業でやっているので機能が欲しい」といった声が、上長を経由せず直接届きます。
現場の不満が組織の中で止まってしまう構造そのものを、外側に開く仕組みだと考えてください。

1. 記録は「あとでまとめて」ではなく、その場で 30秒で終わる作業を後回しにすると、必ず記憶が薄れます。会議室を出た直後、日報を読んだ直後が最適なタイミングです。
2. プラス評価から始める マイナス評価だけが溜まる運用になると、スタッフ分析は監視ツールに変質します。まずは「助かった」「よく気づいた」を記録する習慣から始めてください。
3. リスク判定は、会話の入口として扱う バッジが付いたから面談する、ではなく、バッジが付いたから「最近どう?」と聞く。判定そのものを本人に伝える必要はありません。
4. 期間を切り替えて見る 30日では不調に見える人が、1年で見ると明確に伸びていることがあります。逆もあります。一つの期間だけで判断しないでください。
評価への納得感を最も左右していたのは、評価結果そのものではなく、上司からの丁寧なフィードバックでした。そして規模の小さい組織ほど、その納得感は低い。距離の近さは、フィードバックの代わりにはならないということです。
一方で、プレイングマネジャーが標準となった現場に「もっと丁寧に伝えろ」と要求するだけでは何も変わりません。必要なのは、観察した事実が消えずに残り、面談の直前に取り出せる仕組みです。
CooBaseのスタッフ分析は、日報・タスク・スキル・目標・勤怠に散らばったデータを一人ひとりの軸で束ね、5次元の評価軸と時系列の記録として残します。フィードバック送信は、その逆方向の声が組織の中で止まらないようにするための回路です。
フィードバックは、往復して初めて機能します。